赤字決算のメリットは欠損金の繰越制度にある

法人経営をしているのですが、起業からこれまでの6年間はずっと黒字で申告をしてきました。

けれども、最近は赤字決算にすべきではないかという疑問が出てきており、今期については赤字処理する予定でおります。この理由についてですが、単年度で考えて税金を安く済ませることを考えるよりも、5年・10年単位で考えることにより、全体としての税金を安く済ませる方法をとった方が節税につながるものと考えています。

例えば、100万円の利益を5年継続して、6年目に事業が当たって2,000万円の利益が発生したとします。この場合、6年目の税金負担はかなり重くなってしまいます。

けれども、役員報酬を高く設定したうえで毎年200万円づつの損失を5年継続すれば、1,000万円の繰り越し損失が発生します。この場合、累積した損失を差し引きすることで6年目の利益を1,000万円に圧縮することができるわけです。

この節税効果はかなり高いものがあると感じております。

つまり、個人が納める所得税と住民税については、事業化していない限りは単年度で完結してしまうため、赤字を繰り越すことができません。一方、法人で青色申告をしていれば、赤字を繰り越すことができるという大きな違いがあります。

そのため、このメリットを最大限に活用するのなら、毎年法人の方で赤字を積み重ねていき、繰越欠損金という形で儲かった年に使える控除金を積み立てていった方がよいと感じています。

ただし、メンタルな部分でいえば、毎年赤字決算というのも気が引けてしまいます。また、いずれ事業が当たればいいですけれども、もし9年間で一度も当たらなかった場合、積み立ててきた純損失は消えてしまうことになります。

このあたりで判断が分かれるかと思いますが、単年度では赤字であったとしても、5年・10年単位で黒字であればそれでよいのではないか、最近はそう考えるようになってきました。会計の事業年度は1年単位であったとしても、それぞれの事業がものになるまでには3年、5年の時間がかかるケースも多いと思います。

そのようなことを考えると、むしろ1年単位で赤字・黒字を決算する方がおかしい気もしてきたため、今期については赤字で処理することにしました。

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