マクロ経済スライドで年金支給額は減額されてしまう

年金2,000万円の不足問題が社会問題化していますが、本当に2,000万円あれば大丈夫なのでしょうか?

年金問題を考える上でいくつかの重要なポイントがありますが、年金の受給額のみならず、マクロ経済スライドや消費税の増税、生活保護受給者の増加、あるいはインフレ率なども考慮していかないと判断はできないかと思います。

年金支給額が減少すれば、生活が困難になる人が多くなりますので、結果として生活保護受給者が増加します。そうなれば財政が悪化しますので、さらなる消費税の引き上げや医療費の自己負担額が増加されることとなります。その結果として、たとえ年金の受給額が変わらないとしても、増税で実質的な年金支給額は減額される結果になることでしょう。

これはマクロ経済スライドでも同じことが想定されており、物価上昇率、インフレ率が上昇したとしても、マクロ経済スライドによって年金の支給額が増加しないことにより、実質的には支給額が減額されてしまう結果になります。

政府が物価上昇率2%、デフレからの脱却を目指している理由も、マクロ経済スライドにより年金支給額を実質的に減額させる意図があるように思えてなりません。マクロ経済スライドでは、前年の名目年金額を下回らない仕組みになってはいますが、そのほかの要素を考慮に入れることにより、実質的には減額されてしまうことになります。

例えば、今がんばって2,000万円をためた場合、消費税8%とすると1,840万円分を購入することができます。これが30年後、年金を受給する時期に消費税が30%になっていたとすれば、1,400万円分しか購入することができません。差額の440万円分については、増税で国庫に入ることにより、高齢者の生活保護や年金不足分に充填されることになるはずです。

あるいは、数十年後には現在と比較してインフレ率が30%だった場合、3割増のお金を出さないと同じものが買えなくなってしまうはずです。

今後はマクロ経済スライドと消費税のさらなる増税といった形で、実質的な年金支給額は減額されることになるはずですので、名目上の年金支給額だけはなく、インフレ率や消費税の動向なども考慮に入れて考えれば、2,000万円ではなく、3,500万円~5,000万円程度は必要になるのではないかと考えています。

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